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根管治療は最初が肝心🦷

むし歯や外傷で歯の神経を含む組織(歯髄)に炎症が起こり、神経の治療(根管治療)が必要になることがあります。

根管治療には大きく分けて2種類あります。

①初回治療(初めて行う根の治療)→歯髄が炎症を起こしていたり壊死してしまっている

②再治療(一度根管治療を行った歯をもう一度治療する)→歯髄はすでに存在しないが、根の内部で細菌感染が広がり根の先で炎症を起こしている

このうち、成功率が高いのは①の初回治療です。歯の根の内部(根管)は元々無菌は状態ですので、初回治療を行う場合でも内部の感染はまだ少ないと考えられます。また根管内部が本来の形を維持しているため、きちんと行えば根の先までしっかり治療できる可能性が高くなります。以上より、①の初回治療は「きちんと行えば」成功率は高い(再発を起こさず、長期間歯を保存できる)といわれています。

それに対して、②の再治療は一般的に成功率が下がります。なぜなら歯髄を失った根管内では血液の供給がなくなり、免疫機構が働かなくなるため細菌がどんどん繁殖していきます。根管内の細部まで細菌が入り込んでしまうともはや通常の治療では除去することができなくなります。さらに、再治療を行う場合は本来の根管の形が失われていて器具が根の先端まで届かなかったり、根管の壁に穴が空いてしまっていたり初回治療の際に用いた器具の破片が根管内に残っていたりとトラブルを多数抱えている場合が多いです。以上より、再治療は初回治療よりも難易度が格段に難しく、成功率が下がります。再治療が成功しなかった場合は、次の手として歯の根の先端を切り取る手術を行なったり抜歯が適応になる場合もあります。

ですので、できるだけ②の再治療が必要にならないようにすることが大事です。ここで、②の再治療が必要になる原因としては主に

1.初回治療の失敗

2.根管治療後の修復治療の失敗

があります。

1.の初回治療の失敗の原因は、「根管治療中に細菌が侵入した」「根管の中に感染源が残ってしまった」といったことが考えられます。

これらはまず「ラバーダム」という歯の周囲をゴムのシートで保護する器具を使用して、唾液に混じって細菌が入ってこないようにすることが大前提です。その上でマイクロスコープや高倍率ルーペを使用して根管や感染源を見逃さないようにすれば、より成功率は高くなります。様々な切削器具やレーザーを用いた治療法なども存在しますが、何よりもまず「細菌が侵入してこない環境」を作って「細部まで見ることができる」状況でないと本末転倒であり、どのような高価な器材を使用しても根管治療は成功しません。

2.の根幹治療後の失敗の原因は、「コロナルリーケージ」という歯冠部分からの細菌の侵入が考えられます。ラバーダムを使用してきちんと根管治療を行ったとしても、その後に歯に被せる修復物(クラウンなど)精度が悪かったり修復物と歯の境界部分が虫歯になると、そこから再び細菌が侵入して根管の内部が汚染されて病気が再発する可能性があります。

以上より、基本原則を遵守した質の高い根管治療と精度の高い修復物はセットでありどちらが欠けてもダメなのです。

そして最初の根管治療で失敗してしまうと再治療の難易度ははるかに高くなり、成功率も下がるため最初の治療をいかに厳密に行うかが重要となってきます。

ラバーダムやマイクロスコープを使用した治療は自費診療である歯科医院がほとんどであると思いますが、当院では現在のところ保険診療の根管治療であってもラバーダムとマイクロスコープを使用しております。根管治療においてはこれらは原理原則であり、「使用しないと明らかに失敗する可能性が高くなる」ことを保険だからしない・自費だからするといった区別をしたくないとの担当医の思いからです。

さらに根管治療は短期決戦が重要であり、治療が長引けば長引くほど根管内に細菌が侵入する機会が増えてしまうため、一回の診療時間を長めに確保してしっかり根管内を消毒し、だいたい2回目で根管内に最終的な栓を入れて治療を終了します(再治療の場合は難易度が格段に上がるため、3回以上かかることもあります。根の先を切り取る手術が必要になる場合もあります。)何週間・何ヶ月もかけて効果のない根管治療をダラダラ行うよりも、短期決戦で成功率の高い治療を行うほうが医院・患者様お互いにとってよほど有益だと思います。患者様に投資していただいた貴重な時間とお金を無駄にしないように、確実な結果を出すことがプロフェッショナルとしての責任でもあると思います。

現在、根管治療でお困りの多数の患者様が遠方からも来院してくださっています。患者様の期待に答えるべく、これからも精進してまいります。

 

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